【第6回ワーク・ライフ・バランス大賞 優秀賞受賞】
東日本旅客鉄道株式会社 執行役員人事部長
横山 泰和
1956年東京都に生まれる。1980年東京大学経済学部卒業。 同年日本国有鉄道入社。その後国鉄の分割民営化に伴い、1987年東日本旅客鉄道株式会社入社。2009年執行役員財務部長、2012年執行役員人事部長。現在に至る。趣味は、美術館めぐり、オペラ鑑賞。座右銘は、「敬天愛人」。妻と二人暮らし。
I have a dream.
ずっと考えてきた。そもそも、ワーク・ライフ・バランスとは、一体何なのだろうか?なぜ、ワーク・ライフ・バランスを推進しなければならないのだろうか? 社員に、単に楽をしてもらうためのものではないだろう。いわんや、流行を追うためのものでは、あってはならないだろう。それでは、一体、何なのか? もっと、大きな目標が必要ではないだろうか?人類は、誕生以来、ずっと食物の確保のためだけに、殆どの時間とエネルギーを費やしてきた。しかも飢えと危険の恐怖におびえながら。貨幣経済が出現してからは、金銭を稼ぐために、長く辛い労働に耐えてきた。正に、働くことは、苦役だったのである。
21世紀になり、この日本で、初めて、働くことが真に喜びである社会を作ることの出来る環境が整ったのではないだろうか? 働くことで、自分が成長し、達成感を味わえる。働く局面でも、生活の局面でも、共に喜びにあふれ、生きる幸せを噛みしめることのできる社会。そして、働く局面でも、生活の局面でも、真に自分自身が主人公になって、役割を果すことの出来る社会。それは、人類誕生以来の理想ではないだろうか? 夢物語と嗤うなかれ。一歩一歩、我々は、夢に近づいているのではないだろうか?
50年前、米国のキング牧師は、肌の色によってではなく、人格そのもののよって評価される社会の到来を求めた演説を行った。当時は、それは夢のような話だった。しかし、50年後の今日、アフリカ系米国人のオバマ氏が、米国の大統領に就任しているのである。実現出来ない夢などないのである。たゆまぬ努力さえ怠らなければ。