「成長戦略の基盤はワーク・ライフ・バランス」
今般、政府が示した新たな成長戦略〜「日本再興戦略 -JAPAN is BACK- 」においては、「人材こそが日本が世界に誇る最大の資源」であることが強調されている。 成長に向けたこれら施策の実行には、生産性向上の観点に立って、人々の高い意欲と向上が求められるが、その際、とりわけワーク・ライフ・バランスの実現が不可欠であることを忘れてはならない。 また、ワーク・ライフ・バランス推進にあたっては、依然として、コスト面だけが強調され、中長期での成果を踏まえた議論が不足している。このため、ワーク・ライフ・バランスは、企業経営にとどまらず国の政策を左右する持続可能性を高めていくためのインフラであるという視点を持つことを強く求めたい。 こうした観点から、当会議は、ワーク・ライフ・バランスの新たな展開に向けて、以下の問題提起を行う。
1.制度導入による推進から意識・行動改革の段階へ
―ワーク・ライフ・バランスを制度導入によって推進しようという段階から、企業に働く従業員全体の意識と行動を変えていく段階に進めよう―
◇経営層と現場のマネジャー層の意識ギャップが大きいことを重視し、これらマネジャー層に焦点を当てた理解の促進を急ぐべきである。
◇一方、景気回復に伴う残業時間増加や勤労者のメンタルヘルスの悪化、中小企業における制度整備の促進などへの配慮も忘れてはならない。
◇労使は、制度面の拡充と点検にとどまらず、実際にそれが有効に活用されるような環境になっているのか、意識と運用面での課題の話し合いを進めるべきである。
2.生産性の向上、能力開発、ワーク・ライフ・バランスの好循環を
―ワーク・ライフ・バランスは、少子化対策としての意義にとどまらず、成長の原動力として 労働への参加を高めるための対策として位置づけよう―
◇ワーク・ライフ・バランスが経営効率の追求と両立するという経営理念を徹底し、企業風土の改革を強力に進めるべきである。
◇その推進にあたっては、育児支援など個別施策の枠組みで捉えるのでなく、生産性向上への戦略全体の中で考えなければならない。
◇その推進にあたっては、育児支援など個別施策の枠組みで捉えるのでなく、生産性向上への戦略全体の中で考えなければならない。
3.多様な人材が柔軟に働ける企業・職場づくりを
―「働き方改革」は、時間短縮の取り組みから一歩進め、「多様性」と「柔軟性」の実現、さらには「社会との調和」にその重点を移行させよう―
◇成長戦略の要となる女性活躍の実現を図るには、ワーク・ライフ・バランスの推進を基盤として、キャリア支援との両輪の下に展開しなければならない。
◇キャリア支援としては、まずはフルタイムで働き続けられるような環境づくりと多様な人材を統合するマネジメント力の強化を図るべきである。
◇営業時間と勤務時間の乖離、過剰なサービスに対する消費ニーズなど、企業を超えた社会的な枠組みの中で取り組むべき問題の解決も急ぐべきである。
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(発表日:2013年7月5日)