「ワーク・ライフ・バランスで次の飛躍のための基礎固めを」
私たちは2006年に「次世代のための民間運動〜ワーク・ライフ・バランス推進会議〜」を設立し、ワーク・ライフ・バランスの普及・推進に務めてきました。それ以降、ワーク・ライフ・バランスへの社会的な関心は徐々に高まってきています。しかし、昨年末来の金融危機が世界を覆う中、わが国においても産業や地域を問わず不況感が強まり、ワーク・ライフ・バランスに取り組むゆとりなどないという声も少なからず聞こえてきます。
多くの企業では、生産計画や業務体制などの縮小・見直しに迫られ、当面の危機を乗り切るための懸命な取組みを進めています。しかし、中長期的に見れば、ワーク・ライフ・バランスの推進は、少子化の流れの中で、わが国が持続ある発展を遂げていくために不可欠な目標であることを忘れてはなりません。
従業員が、仕事と暮らし双方への不安を感じることによって、企業や職場全体の閉塞感が広がるようなことがあってはなりません。企業の「元気」を維持し、困難な状況を打破していけるような新しい知恵や工夫を生み出すようにすることが必要です。そのためにこそ、ワーク・ライフ・バランスによって従業員の仕事意欲を高め、イノベーションの起こりやすい組織風土づくりを目指し、このことを通じて、新しい21世紀型企業モデルを追求していく必要があります。
今こそ、「働き方改革」の真価が問われます。ワーク・ライフ・バランスの推進は従業員の時間意識を高め、業務体制やその内容・方法の見直し等を通じて、生産性を高めていくことにつながります。それは次の飛躍のための基礎固めを行っていく作業であり、将来への投資でもあります。また、その原動力となる人材の確保と定着を図る上でも重要な取組みです。
将来に禍根を残すことなく、発展しつづける社会の仕組みを確立するよう、ワーク・ライフ・バランスの意義をもう一度確認することが重要です。厳しい経済環境が続くことが予想されていますが、「今だからこそワーク・ライフ・バランス」という認識の下、好不況に関わらず、その推進が滞ることのないよう、労使をはじめ多くの関係者の努力の継続を求めます。
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(発表日:2009年3月19日)