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アピール2012

「ワーク・ライフ・バランスに社会の視点を」


 わが国の「働き方」を見直し、生活面の様々なニーズとのアンバランスを解消していこうという動きは、子育てにとどまらず最近では介護問題への対応にも広がってきている。また、ダイバーシティを目指す企業経営の改革や、政府における諸施策も広く展開されてきた。ワーク・ライフ・バランス推進の取り組みは、単なる精神運動にとどめてはならない。働き方とくらし全体のイノベーションを起こし、生産性を高め、持続的な成長をもたらす原動力としていくことが重要である。

 こうしたときに起きた昨年の東日本大震災は、多くの人にとって生活や行動のありようを見直す契機となったといえよう。その意味で、ワーク・ライフ・バランスの運動も、この震災の経験を踏まえてもう一度原点に立ち返って考えるときではないか。その際、更なる運動の発展を目指すには、社会全体の枠組みの中から、以下のような新たな視点を加えることが不可欠であり、今後の各方面における論議への問題提起としたい。

1.働き方やくらしのありようを社会全体の視点から見直すこと
ワーク・ライフ・バランスを推進しようと思っても、消費者のニーズや取引先など他の企業 との関係によって制約され、不規則な勤務や長時間労働になってしまうという問題がある。 また、わが国特有の「サービスは当たり前のもの」という意識も根強い。こうした中で、ひ とつの企業だけでなく社会全体でワーク・ライフ・バランスを実現するために、産業・企業 の活動や従業員のライフスタイルなどのありようを見直すべく、産業・地域等の様々なレベ ルでの協議と合意形成を急がなければならない。

2.人々の絆によって地域の元気を取り戻す取り組みを促すこと
とりわけ、子どもたちへの教育支援や雇用創出など地域の活性化のための取り組みを担う「支 え手」の育成と確保が重要になっている。そのためにも、雇用の機会を増やしてコミュニテ ィへの参加を促すことが重要であるが、同時にワーク・ライフ・バランスの一層の推進によ って、現役世代がこれらの地域活動に参加しやすい環境づくりに取り組む必要がある。

3.正規と非正規の働き方の違いやメンタルヘルスの問題に取り組むこと
正規と非正規に二分化される中で、働き方の格差に注目することである。それは、ワーク・ ライフ・バランスへの対処の仕方の違いともなっている。このため、まずは、雇用の質を高 める一方、社会的セーフティネットの整備を図ることによって、誰もが安心して働くことの できる機会自体を増やす必要がある。また、過密な労働時間やストレスの蓄積によって疲弊 した働く人のメンタルヘルスの確保が急務となっている。ワーク・ライフ・バランスの一環 として、こうした問題の解決にも積極的に取り組むことが強く求められる。

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(発表日:2012年5月17日)
アピール一覧

提案2016

「組織起点から個人起点でのワークライフバランス推進へ転換を

アピール2013

「成長戦略の基盤はワーク・ライフ・バランス」

アピール2012

「ワーク・ライフ・バランスに社会の視点を」

提言2011

「ワーク・ライフ・バランスの論議に新たな視点をを」

アピール2010

「ワーク・ライフ・バランスの一層の推進で新しい成長を促そう」

アピール2009

「ワーク・ライフ・バランスで次の飛躍のための基礎固めを」